講師ブログ

2022/11/30

頭と身体をフルに使ってレッスン

発表会が終わり 通常クラスでは

基礎練習に重点をおいて

レッスンを進めています。

 

バレエの動きは、

「ただ膝を曲げればいい」

「ただ脚を出せばいい」

「ただ回ればいい」

というものではなく、

一つ一つの形や動きには、

沢山のお約束事があるということを、

生徒達には

出来るだけわかりやすい言葉で、

しっかりと伝えていきます。

 

例えばプリエなら、

身体を上に引き上げながら、

足は親指と小指の付け根とかかとの3点で

床を押し、

つま先の向きに膝を曲げていく。

プリエは、

股関節、膝、足関節の3点で行い、

上半身の形は変わらない。

膝を伸ばしてくる時は、

内腿の筋肉(内転筋)を使うよう意識する。

 

ひとつの動きに対して、

意識することは沢山あります。

 

お約束事を守るように、

意識を体の各部に集中させ、

自分の身体を、自分で

コントロール出来るようにしていきます。

 

レッスン中は、

頭をフル稼働させて、

頭と身体の両方をしっかり使います。

レッスン中に

「今日の夜ごはん何かなー」なんて

考えている暇はありません。

 

 

また、間違った方法で

身体を使ってしまわないように注意します。

 

バレエはつま先を外に向けた

「外足」で立ちますが、

この時、

床の摩擦を利用して無理矢理、

外足に立つのはNGです。

これをすると、

足指が曲がり、土踏まずが落ち、

脚がねじれて、膝が前を向き、

お尻が出て、腰が反り、

肋骨が開き、首が前に出て、

身体全体のアライメントが崩れていまいます。

この姿勢をキープするために余計な力が入り、

外反母趾や怪我の原因にもなります。

 

身体を引き上げつつ、

外旋六筋(お尻の深層の筋肉)を使って、

股関節から外に回し、

つま先と膝が同じ方向を向いて、

足の裏の3点がきちんと床に付き、

足指が全て伸びていて、

土踏まずのアーチ上がっている状態が、

外足の正しい立ち方です。

 

子供は外足というと、

見た目だけを真似して、

膝を曲げながら懸命に180度外足にして

立とうとしますので、

より注意が必要かと思います。

(しかし、同時に気をつけたいのは、

無理に外足にしなくていいと勘違いし、

楽に立っていては上達しませんので、

正しい立ち方で

自分に出来る精一杯の外足で立つことが

大切です。

あくまで無理矢理、足を捻って

立たないということです。)

 

また、アンディオールするために

「お尻をしめる」という言葉をよく聞きますが、

より詳しくみていくと、

アンディオールするために使うのは

お尻の深層の筋肉(外旋六筋)で、

表層にある大殿筋や中殿筋はほぼ使わないのですが、

この点を子供は誤って捉えがちです。

お尻全体に力を入れてギュッと固めてしまうと

表層の筋肉を使ってしまいます。

表層の筋肉を固めてしまうと、

深層の筋肉が使われず、

逆にアンディオールの妨げになってしまいます。

 

そして、足指について、

足指が曲がりやすい傾向にあることにも

注意が必要です。

バレエシューズを履いていると

隠れていて気付きにくい部分です。

足指がしっかり伸びていることが

とてもとてもとても大切です。

足指が曲がっていると、

足底の筋肉が十分に使われません。

 

バレエの動きは

足底の筋肉を十分に使うことが

非常に重要です。

 

子供達の足を見ていると

指が曲がる癖がある場合が

結構あるようなので、

バレエの時以外でも

普段から

子供の足の指が真っすぐ伸びているか

裸足になっている時に

チェックし、

バレエシューズや通常の靴がきつくないか

まめに確認をしてください。

(小さいうちは日々成長しているため

あっという間に

バレエシューズがきつくなり、

交換していく必要かあります。)

 

 

ここまで、正しい立ち方や、

良く見受けられる間違いについて

書いてきました。

小さい子には難しい内容かもしれませんが、

良くない癖を付けないためにも、

将来、足の形の変形や怪我などに

繋がらないようにするためにも、

最初から教えていくことが大切だと

思っています。

レッスンでは、

まず、正しく立てているか

ひとりひとり確認していきます。

そして、

毎回分かりやすい言葉で説明していきます。

 

たとえ低学年でも

こちらの説明に意識を向けられると、

説明後の立ち方がびっくりするくらい

別人みたいに綺麗に出来たりしているので、

こちらも毎回根気強く伝え続けます。

 

 

こちらから伝えることは山ほどありますが、

レッスンが終始受け身にならないよう、

「やらされている」ではなく

「自分から考えて動ける」よう、

 

ひとつひとつ曲をかけて練習を行う前に、

このパはどこを気を付けるのか、

何を意識すればいいのか、

子供達に聞くようにしています。

子供達は自ら言葉にすることによって、

気付きが沢山出てきて、

受け身ではない体制で、

レッスンに臨むことが出来ます。

 

「プリエは何を気をつけたらいいでしょうか?」

「タンジュは何を気をつけますか?」

皆、手をあげて一生懸命答えてくれます。

 

答えてもらった後、

皆の足のポジションがぐんと良くなります。

バレエの基礎練習は

小学校低学年くらいまでは

少し退屈に感じやすい傾向にありますが、

QandAを取り入れていくと

小さい子でも

意識が自分の身体に向き

基礎練習に意欲が感じられます。

 

また、さらに

小3以上のジュニアBクラスや

ジュニアCクラスでは、

正しいポジションに直されるだけでなく、

自分から正しいポジションを考えるように、

伝え続けます。

足の位置や手の位置が

良いところにあるか

自分でひとつひとつ確認してもらいます。

 

 

 

小さいうちから、

正しい筋肉の使い方、

正しい動きを、

頭で考えてレッスンする習慣を

付けていきたいと思います。

 

 

バレエを続けていくうちに、

将来もっとやりたいと思うかもしれないし、

他にやりたいことが出てきて

いつかは卒業するかもしれないけど、

 

バレエで身に付けたもの…

バレエの正しい基礎の動き、

正しい動きを続けたことで身に付く

身体に芯の通った凛とした姿勢、

柔らかな身のこなし、

頭を使って自分で自分の身体を

コントロールするチカラは、

一生の財産になるはずです。

 

 

 

私はNYのピラティススタジオで

ピラティスを学びました。

そこでは解剖学も学び、勉強しました。

 

ピラティスの動きは

バレエの身体作りにもとても適しています。

ピラティスのエクササイズでは

身体の深層部の筋肉を意識して

鍛えていきます。

そしてピラティスの考え方は

バレエにも共通すると思いました。

 

「ピラティスは

その動きがその人の身体の構造上

無理があるならば、

モディフィケーションを使う。

ピラティスの目的は

自分自身の身体と向き合って

身体を整えていく。

人と比べる必要は全くなく、

とにかく自分自身に集中する」

というものです。

バレエのコンクールやオーディションとなると

順位が出たり、合否がでたりして、

どうしても他人と自分を

比較してしまいがちですが、

本来、バレエはコンペティションではない

はずなので、人と比べることはナンセンス。

 

昨日の自分、先週の自分よりも

少しずつ成長していることが大切ですね。

 

例えば一番ポジションで立つ時、

骨格や関節の可動域、バレエ歴など、

人それぞれ条件が違うのだから、

皆が、形だけに捉われた

180度外足に開いた一番ポジションに

立たなきゃいけないというのはおかしなことで、

(これをしてしまうと、

本当に股関節からアンディオールして

外足に立てている人以外、

脚足に何らかの支障が出たり、

怪我の原因になります。)

 

正しい筋肉を使い、

股関節からアンディオールした正しい立ち方で、

自分に出来る精一杯の一番ポジションを

毎回のレッスンでとっていくことが、

何よりも大切です。

そこから努力を重ねて、

より良いポジションにしていくことです。

 

 

 

中学生以上の生徒達は、

10月と11月の水曜日の通常レッスン後、

伊集院整骨院の伊集院先生の短期集中講座を

受けています。

(伊集院先生は、バレエ整体で

これまで多くのバレエ少女達を治療、指導し、

プロバレエダンサー達の治療をしてきています。)

生徒たちは、

正しい姿勢やそれを作るためのトレーニンングを、

解剖学的視点からチェック、指導してもらっています。

姿勢分析では、

皆、重心がつま先寄りにあることに気付き

修正のトレーニングを行い、改善されてきました。

身体の構造や動きを熟知している

専門家からの指摘は、

いつもとはまた違った気付きがあります。