2017/06/22
バレエを辞める覚悟をした時の出来事
これは私自身が経験から学んだことです。
私は23歳の時に「バレエをきっぱり辞めよう」と決めたことがあります。
その時の自分は、橘バレエ学校を既に卒業し、バレエ団の公演にコールドバレエとして出演していました。
「自分にバレエは向いていない」「このまま続けていても私は上に上がれる人間ではない」上手くいかなくて、悩んで悩んで、今までバレエを続けてきたことを後悔して、厳しい指摘を受けては落ち込んで、鏡で自分の姿を見るのも嫌で、とにかくバレエを続けることが苦しくなっていました。
あんなに大好きなバレエだったのに。
そして「私は23歳一杯でバレエを辞める、24歳からは違う自分になる、新しい自分になる」そう決めたのです。
「大学に行きなおしてもいいし、就職してもいい、まだまだ若いのだから何でもやり直せるんだ」と。そう決めたら、急に気が楽になりました。
向いていないと思うバレエをもう無理やり続ける必要はない、もう自分は辞めるんだから。厳しい指摘をされても気にしない、だってもう自分は辞めるんだから。
ただ「大好きだったバレエ、長く頑張ってきたバレエを綺麗なかたちで辞めたい」そう考えて、辞める前に最後に自分をいい状態に持っていって、それから辞めることに決めました。
そしてそれからは、レッスンにすっかり打ち込み、食事制限やピラティスで身体作りを徹底しました。
そして23歳の夏、自分で決めた期限である24歳になる1ヶ月前、、
映画監督である塚本晋也さんがご自身の次回作のヒロイン(踊れて、役のビジュアルに合う人)を探して様々なバレエ団やバレエ学校を回られていた時、偶然、牧阿佐美バレエ団の朝のレッスンを見学にいらっしゃって、それで、ヒロインにどうかと私に声をかけてくださったのです。
私にしてみれば「よく見つけてくれました」といったところです。
お受けする前には恥ずかしながら塚本晋也さんのことも、相手役をされる浅野忠信さんのことも存じ上げておらず、突然のお話で訳も分からず、断ろうかなんて考えていました。
その後、しっかり監督の映画に対する思いを聞かせて頂き、それからは何が何でも自分がこの役をやるんだ!と思うようになっていました。
そんなことがありで、23歳できっぱり辞めようと思っていたバレエを、映画で踊るのだから、辞めるどころかさらに頑張らなくてはならなくなっていました。
バレエに対して一度吹っ切れていたせいか、もう悩んでいた自分はいなくなり、自分が踊ることを求められていると思うと自信につながり、バレエに真っ直ぐに励むことが出来るようになりました。
24歳は、ある意味、新しい自分になれたのだと思います。
もし、あの時、最後に頑張ることをせずに辞めていたら、このチャンスに巡り合うこともなかった。
いつ、どこに、どんなチャンスがあるかは神のみぞ知る。
私達に出来ることは、ただただ精一杯物事に取り組むことなんですね。そして、努力すれば必ず何か結果が出るのだということを知りました。
映画は、それはそれは素晴らしい経験でした。そして、言葉通り「命がけ」で取り組みました。そこから得たものは何物にも変えられません。このお話はまた次回書きたいと思います。
塚本晋也監督(左)と浅野忠信さん(右)と