幼児のバレエ

何歳からバレエを始めたらよいでしょうか?

幼児クラスの体験レッスンに来てくれる3〜4歳の子供達の半分は、

何もやらないで終わるか、泣いてしまうか…

 

それを見た親は、バレエはまだ無理かなーと断念してしまったり。

 

しかし、それはバレエがまだ無理なのではなく、

初めての場所、初めての人、初めての環境に驚いて、

何も出来なかったり、泣いてしまっているだけかもしれません。

 

そこで、まずは私が今まで幼児達を見てきて感じたこと、

私の考えをお伝えします。参考にしてください。

 

 

幼児期~潜在意識の中に

3歳、4歳、5歳、程度の差こそあれ、このくらいの歳の子は、

先週はちゃんとレッスンしていたけど、今週はイマイチのっていない、

でも次の週はまたしっかりやっているというように、

大人の目からは波があるように見えます。

 

実際に、毎回のレッスンを最初から最後まできちっと集中して、

しっかりやるということは、この年齢ではなかなか難しいです。

 

それでも、バレエをいずれ習いたいというのであれば、

小さいうちから始めるのが正解です。

ちゃんとやるようになる歳まで待つというのは、ちょっともったいないのです。

 

なぜかというと、幼児期は、

「教えられる」というより「感じる」ことが一番大切な時期で、

小さいうち程、潜在意識への浸透率が高いからです。

 

スタジオに来て、講師や他の仲間と一緒にバレエを体感する。

最初はこれで十分だと思います。

 

これだけで、子供達の潜在意識の中には、

バレエというものがしっかり浸透していくと、

私は実際に子供達を見ていて感じています。

 

実際、ふと何気ない時に、

バレエのステップやポジションがパッと出てきたりして。

全然聞いていなかったようなのに、

自然と身体や頭に入っていっていたんだなーと驚かされます。

 

 

私も皆様と同じように3歳児と4歳児の母親です。

 

子育て、子供の成長で最も大切なことは、自発性を育むことだと思います。

私はそれを一番大切にしてバレエの指導を行っています。

 

知能と運動機能の基礎は3~8歳で決まるといわれているので、

この時期に自発性を育む指導と、本物の基礎を作るバレエ指導が大切だと、

常に心に留めています。

 

 

ゴールデンエイジとプレゴールデンエイジ

 

ここからは、ゴールデンエイジについての文献を引用し、

幼児期の大切さをお伝えしていきます。

 

ゴールデンエイジという、

人が一生に一度、運動神経を良くすることができる時期、

何かを上達するのにとても重要な時期があります。

 

これが9歳~11歳の、

「自分が思うように身体を動かせる時期」といわれています。

 

今まで出来なかったことが突然出来るようになったり、

技術やセンスがぐんと成長する時期だそうです。

頭で考えずに見よう見まねで何でもパッと出来てしまうとのこと。

 

聞いていると夢のような期間ですね。

 

さらにこの時期に習得したものは、いわゆる「脳が覚えている」状態なので、

大人になってもその技術は失われないといいます。

例えば、自転車に乗ることやボールのリフティングなどがこれにあたります。

 

そういう意味では、バレリーナが幼少期からバレエを始めているのも頷けます。

バレエは正しい足の形や足の位置、手の位置、頭の位置、

手足の動かし方などが非常に繊細なまでに細かく決まっています。

この時期にバレエの基礎をしっかり身に付けておくことは、

バレリーナになるためにはとても重要なことなのですね。

 

 

そして、ゴールデンエイジに飛躍的に伸びるためには、

その前のプレゴールデンエイジがとても大切なのだそうです。

 

プレゴールデンエイジとは、3歳~8歳の、

「多種多様な動きを経験し、基本的な動作を身に付けておくべき時期」で、

この時期に沢山の動きを経験させることがとても大切とのこと。

 

トップアスリートの方も、プレゴールデンエイジがスタートする3歳頃から、

その道を歩み始めているようです。

例えば、イチローさん(3歳)、浅田真央さん(3歳)、

本田真凛さん(2歳)、福原愛さん(3歳)などがいらっしゃいます。

 

 

そしてもうひとつ興味深い文献を見つけました。

 

プレゴールデンエイジは、神経系の発達過程時期であり、

体内に様々な神経回路が次々に張り巡らされていく大切な時期だそうです。

 

この時期の子供達は、何かをしていても、

常に新しいものに興味が移っていくという特徴があります。

これは神経回路に様々な刺激を与え、

神経系の配線をより多様化していこうとする自然な欲求であるそうです。

 

そして子供達にとって、多彩な身体運動を含む「遊び」が有効なのだそう。

 

私はこの文献を読んで、はっとしました。

子供が常に楽しいことを求めているのは、

こういったれっきとした理由があったのです。

 

レッスン中、少し時間が経つと、

子供達がそれぞれ好き勝手なことを始めてしまうのはごく自然なこと。

それならレッスンにバレエの「遊び」を入れていけば、

子供達はそこに集中して、楽しみながらお稽古ができるはず。

これは毎回の幼児クラスを行う際の心得として、非常に役に立っています。

 

基本が出来るとても大切な幼児期を、出来るだけ有意義に過ごしたいですね。

 

バレエは、目で見て、耳で聞いて、心で感じて、

身体をいっぱいに動かして踊ります。

 

プレゴールデンエイジ期の子供達に、

バレエはこの上ない良い刺激を与えてくれると思います。

そして、その後のゴールデンエイジ期に、

バレエが身体に染み付いていれば、それが大きく失われることなく、

大人になっても優雅な動きや美しい姿勢が身に付いているはずです。

 

 

憧れのプリンセスに

 

体験レッスンの際のひとコマです。

他の子達が可愛いレオタードでレッスンしているところに、

体験に来た自分だけレッスン着を着ていない…

 

これだけで子供は気持ちがのらなくなってしまうようです。

 

実際に、最初私服で体験に来た時は全く動こうともしなかったのに、

次の時にレオタードを用意してきたら、

別人のように楽しそうにレッスンに参加してくれたりして。

 

これはひとりふたりではなく、

当スタジオの幼児クラスのメンバーの大半がこのような感じでした。

 

大人からしてみれば「形から入るのか」と思ってしまいそうですが、

子供達からしてみれば、レッスンを始めるうえで、

お気に入りのレオタードを着ることは、とっても重要なことなんですね。

 

当スタジオでは特にレオタードに指定はありませんので、

それぞれ好きなレオタードを用意してもらいます。

 

ピンクやパープル系の可愛らしい色に、チュールのスカートが付いた、

プリンセスのようなレオタードが人気のようです。

 

ある女の子は、

「バレエはプリンセスになるための第一歩なの」と話してくれました。

 

可愛いですね。そして確かにその通りだと思います。

 

バレエは良い姿勢、優雅な身のこなしを身に付けられますし、

可愛いレオタードを着られるし、

舞台ではさらにキラキラと美しいお衣裳やティアラを身に付けられますから。

 

 

自立心を育む

幼児のバレエレッスンでは、

バレエの基礎やステップを身に付けていくだけでなく、

バレエを通して、自立を促していきます。

 

発表会では、大きい舞台でほんの数名で踊ることになります。

袖に先生はいるけど、パパやママは客席です。

一度舞台に出てしまったら、誰も助けてはくれません。

自分自身がしっかりしなくてはなりません。

 

「バレエの時は自分で身支度を整えること、

きちんとレッスンに参加すること、

挨拶・レベランスを心をこめて行うこと」

 

レッスンではこれを徹底していきます。

 

ママやパパが見えると、子供達はどうしても甘えたい気持ちが出たり、

集中力が途切れてしまいますので、

通常のクラスの保護者の方の見学は控えていただき、

レッスン前後の身支度も保護者の手を借りずに自分で行ってもらいます。

 

こうして、バレエに関しては「自分でやる」という環境を作っていきます。

 

ちなみに、舞台を経験すると、子供はぐんと成長します。

自信が付き、次への目標が出来るからです。

 

 

 

このように、幼児のうちからバレエを習うことは、メリットが沢山あります。

 

教え込まれるのではなく自然にバレエに親しみながら、

バレエの基本を身に付け、優雅な身のこなしや良い姿勢を身に付け、

憧れのプリンセスになれて、自立や自信を身に付けられる。

そしてゴールデンエイジに大きく飛躍するための準備が出来るのです。

 

幼児期のバレエの経験は、

その後の人生に沢山の恩恵をもたらしてくれると信じています。